大阪・関西万博(EXPO 2025)の見どころ徹底解説
2025年4月13日から10月13日まで、大阪湾・夢洲にて開催される「大阪・関西万博(EXPO 2025)」。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。世界中から160を超える国・地域が集結し、先端技術や社会課題解決に向けたさまざまな取り組みが披露されます。ここでは、万博ならではの魅力を領域別に解説します。
会場デザインと「大屋根リング」の壮大さ
万博会場のシンボルとも言えるのが、建築家・藤本壮介さんが手掛けた木造大屋根構造「Grand Ring(大屋根リング)」です。全長約615m、木材のみで組まれた屋根は、外径約615m・内径約約515mを誇り、床面積は61,035.55㎡でギネス世界記録にも認定されています。この大屋根は、環境負荷の低い建築技法と、日本の伝統的な木組み技法を融合。屋内外それぞれのゾーンを緩やかに繋ぎ、多彩な展示空間を包み込むようにデザインされています。
大屋根リングの下には、会場を大きく8つのゾーンに分ける主要な広場が配置され、来場者はまずここを起点に各パビリオンへ移動します。屋根下の広場は天候に左右されず快適に移動できるだけでなく、夜間には特別照明によるライトアップが実施され、幻想的な景観も楽しめます。
テーマゾーン:「いのち輝く未来社会」の最前線
1. 未来社会ゾーン(Future Society Zone)
このエリアでは「未来の生活様式」や「持続可能な都市づくり」をテーマに、都市計画から食料問題、エネルギーまで幅広い課題解決策が体験できます。たとえば、スマートシティのコンセプトを体感できるシミュレーションルームや、再生可能エネルギーを利用したミニ発電実験コーナーなどを設置。来場者が実際にハンズオンで参加し、新しい社会モデルを試せるのが特徴です 。
2. 生命福祉ゾーン(Life and Wellness Zone)
「健康」「医療」「長寿社会」をテーマにしたゾーン。最新の医療ロボットやバイオテクノロジーを活用した診断・治療システムが紹介されるほか、高齢者向けの住まい方・地域ケアモデルも展示。インタラクティブ型のヘルスケア体験ブースでは、自分の身体データを入力すると、AIが最適な健康管理プランを提案してくれるデモが行われます。
3. 地球共生ゾーン(Planetary Well-Being Zone)
環境保全や生物多様性の保護をテーマにしたエリア。オランダ館では「水管理技術」や「廃棄物ゼロ社会の実現」に向けた最新技術を展示し、垂直農法のデモンストレーションも実施されます 。さらに、森林再生プロジェクトやプラスチック代替素材の研究成果を紹介するセクションもあり、来場者は地球環境問題への関心を深めながら、具体的な行動につなげるヒントを得られるでしょう。
日本館:伝統×イノベーションの共鳴
建築デザインと展示構成
日本館は建築家・佐藤オオキ氏と日建設計による円環状構造で、「いのちのリレー」を象徴。外壁には循環型社会をイメージした緑化要素が取り入れられ、屋内では「日本の伝統技術」と「最先端テクノロジー」が融合した展示が並びます。
館内は大きく3つのエリアに分かれ、まず「過去の学び」を振り返るエリアでは、江戸時代のコミュニティ生活や和食文化などの歴史的背景を体感。次に「現在進行形の技術」を紹介するエリアでは、ロボット技術やAI活用によるものづくり、そして地方創生のためのスマート農業などが展示されます。最後の「未来への提案」エリアでは、カーボンニュートラルに向けた取り組みや、ナノテクノロジーを活かした新素材の開発などをVRやARを使って体験できます。
見どころポイント
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伝統工芸×デジタルアートのコラボ展示
伝統的な和紙にプロジェクションマッピングを組み合わせ、四季の移ろいや日本らしい風景を動的に表現するアート作品は必見。会場を取り囲むように配置されているため、どの角度からでも鑑賞できるのが特徴です。 -
いのちのリレー体験シアター
数百人が同時に着席できるシアタールームでは、360度プロジェクションを駆使した没入型映像体験が楽しめます。地球環境、生命進化、テクノロジーの未来像がシームレスに描かれ、参加者自らがストーリーの一員となって「いのち」をつなぐ感覚を味わえます。
各国パビリオン:文化多様性と技術競演
フランス パビリオン:ラグジュアリーブランドの世界観
LVMHをメインパートナーに迎え、ルイ・ヴィトン、ディオール、セリーヌ、モエ・ヘネシーが参加するフランス館は、愛の賛歌(Hymne à l’amour)をテーマに展示を構成。建築家・重松象平設計による糸状カーテンを想起させる外観と、館内を流れるリボン状の階段が印象的です。
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ルイ・ヴィトンの没入型展示
84個のワードローブトランクを鏡天井で囲った空間に配置し、伝統的な職人技の継承を表現。さらに、360度回転するトランク製の地球模型と、真鍋大度氏制作の映像インスタレーションが融合した部屋では、「旅」をテーマにした幻想的なストーリーを体験できます。 -
ディオールのホワイトドリーム空間
白を基調とした空間に、3Dプリント技術で再解釈されたバー ジャケットやホワイトドレスを展示。天井まで並ぶアイコニックなアイテム群と、高木由利子氏による映像インスタレーションが織り成す演出は、未来へのファッションを直感的に感じさせます。 -
セリーヌと日本の伝統工芸の共演
セリーヌが提供する「トリオンフ」モチーフのアクセサリーと、日本の漆工芸や染織技法を融合させたスペシャル展示も見どころ。妹島和世氏設計の「Better Co-Being」シグニチャーパビリオンとも連動しており、建築とファッションの両面で“西洋×日本”の化学反応が楽しめます。
フィリピン パビリオン:織物とライブパフォーマンス
「自然、文化、共同体—よりよい未来をともに織りなす」をテーマに掲げるフィリピン館は、18地域の手織り織物パネル200枚を壁面に敷き詰めた、過去最大規模のコレクションを誇ります。この巨大な織物壁面に映し出されるのは、フィリピン各地の文化や伝統を象徴する模様で、来場者は間近で職人技のディテールを体感できます。
さらに、1日5回行われるライブ・パフォーマンス・ファサードでは、伝統ダンスや音楽演奏が建物外壁に投影され、観客は屋外からも迫力あるショーを楽しめます。エンターテインメント性の高い演出は、家族連れや文化好きを中心に一見の価値ありです。
オランダ パビリオン:水とサステナビリティ
オランダ館は「水管理」「循環型社会」「都市緑化」を主要テーマに掲げています。会場内には、都市部での洪水対策技術や浮体構造を利用した未来都市モデルが大型モックアップで展示され、垂直農法による効率的な食料生産システムも紹介。
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水循環デモンストレーション
オランダが誇るデルタ技術をリアルに体験できるインタラクティブコーナーでは、水位センサーや電動水門を操作し、モデル都市を洪水から守るシミュレーションが可能。来場者自らが鍵となるバーチャル制御を試しつつ、水との共生を学べる仕掛けです。 -
持続可能な建築モデル
廃材や再生資材を多用した建築モデルを通じて、未来のエコシティ構想を紹介。太陽光パネルと風力タービンを組み合わせた小型エネルギー自給装置を展示し、「自分の家でもできる再生可能エネルギー活用」をイメージさせます。
民間パビリオン:企業が描く未来ビジョン
トヨタパビリオン:「モビリティ革命」を体感
トヨタ自動車は「人と社会をつなぐモビリティ」をテーマに、完全自動運転や空飛ぶクルマのコンセプトモデルを含む未来車両を展示。会場では、車両設計の裏側でAIがどのように環境負荷を低減しつつ安全性を確保するかを体験できるインタラクティブシミュレーターを導入し、未来の移動手段を自分の手で試すことができます。
パナソニックパビリオン:「エネルギーと暮らしの融合」
パナソニック館では、住宅×エネルギー×IoTを融合した「スマートハウスモデル」を公開。太陽光発電や蓄電池、家庭用燃料電池といった次世代エネルギーシステムを実機展示し、来場者は家庭内で最適な電力配分を実装する体験を通じて、持続可能なライフスタイルを学べます。
ナイトイベント&エンターテインメント
プロジェクションマッピングとライトアップショー
会場中央の大屋根リング下では、夜間にプロジェクションマッピングが連日開催され、建築の曲線を活かしたダイナミックな演出が披露されます。映像と音楽がシンクロし、来場者は昼間とは一味違う広場を体験可能。開始時間は20:00頃が目安で、夏季は19:30ごろから暗くなるため、夕焼けから夜景へ移り変わるマジックアワーを狙うのもおすすめです。
ステージパフォーマンス&文化ショー
各国パビリオン前には専用ステージが設置され、伝統芸能や音楽パフォーマンスが日替わりで行われます。とくにフィリピン館の「ライブ・パフォーマンス・ファサード」は1日5回の上演が予定されており、民族ダンスや伝統楽器の演奏によって、来場者は現地の温かい文化に触れることができます。
サステナビリティ&エデュケーション
教育プログラムと未来人材育成
万博期間中は、学校単位での団体見学や学生向けワークショップが充実。先端技術を学ぶ「サイエンスラボ」や、子ども向けに再生可能エネルギーの仕組みを体験できるワークショップなどが定期開催され、次世代のイノベーター育成にも力が注がれています。
環境保護への取り組み
会場の建物はほぼ全て再生可能エネルギーで稼働し、会期終了後は主要施設を将来的に地域の公共施設として再利用する計画です 。また、会場内のフードコートでは使い捨てプラスチックの排除を徹底し、リユース食器の導入や食品廃棄物の有効活用(バイオガス化など)も試験的に実施されます。
おわりに
大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマのもと、会場デザインから各パビリオン、ナイトイベント、教育プログラムまで、さまざまな角度から“明日の社会”を考えさせる体験型展示が満載です。来場者は最先端技術や伝統文化を融合した未来ビジョンを目の当たりにしながら、新しい価値観やサステナブルな社会モデルを肌で感じることができます。ぜひ、この機会に万博会場でしか味わえない『世界との交流』と『未来への希望』を存分に体感してください。
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